世界中の誰もが知っている「ハリー・ポッター」。イギリスの児童文学ですが、映画か本を1回は見たり読んだりしたことがあるという方も多いのでは?私は小学校のころにドハマリし、それ以来ポッタリアンになりました。大学の卒論もテーマはハリー・ポッターというほどですが、ここではその「死」について書きたいと思います。私の見解、どう思いますか?

ファンタジーにあるまじきダークさ

ハリー・ポッターは最初は皆楽しく読めて、これぞ児童文学だなと思うんです。魔法が使える、空を箒で飛ぶ・・・、ありきたりで誰もが思いつきそうな物語じゃないですか。まあここで一種のリアルさがものすごく濃く入ってくるのであらすじでは語れない、世界中をも虜にする威力があるわけですが、今回は死がテーマなので省きます。

ハリー・ポッターは巻をおうごとにダークさを増して行き、とても児童文学やファンタジーとは呼べないレベルまで来てしまいます。それを助長しているのは結構な主要人物の死でしょう。しかも、皆最期に遺言を残したりカッコつけて死んだりせず、一瞬で「これで死んだの?」と思わせるような死に方をしています。これぞハリー・ポッターの死の特徴ではないでしょうか。

死人は生き返らない

これもハリー・ポッターの特徴であるのですが、死人は生き返りません。ファンタジーなのにここだけしっかりとリアルなのです。他のイギリス児童文学ファンタジーと比較してみても、「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)」では映画で、ガンダルフという魔法使いが生き返ります。「ナルニア物語」では、アスランというライオンの王が生き返っています。

子どもが読む、しかも何でもアリにしようと思えばできる魔法の世界にも関わらず、ハリー・ポッターの作者、J.Kローリングさんは決して死人を蘇らせたりしないのです。

生き返れそうな場面もある

しかし、物語の中には生き返りに関するものが登場します。「蘇りの石」と呼ばれるアイテムの登場や、不死鳥が灰の中から子どもの姿となってまた成長していく場面、そして最初の最初、ハリーが死の呪いを受けても生きているということ。こうして見ると、今までに死んでいったキャラクターたちも生き返ることができそうに思います。そういう思いを散りばめておきながら、最終的には蘇りはなしとするのが特徴です。

一見残酷ですが、人の死を受け止めるリアルを再現しようとしているのではないでしょうか。大切な人が死んだらどこかで生き返るのではないかという期待を抱きますが、それは幻想に過ぎないということを象徴しています。

何故主要キャラが簡単に死ぬのか

ここで疑問が浮かびますよね。普通、人気キャラなら生き返らせるという手だってあるのに早々と退場してしまうのは何故と。これは作者の生き方にも大いに関係があるのだと思います。女史は死というものを重く受け止め、それがどれだけ願っても生き返ることはないのだと子どもたちにもわかってほしかったのではないでしょうか。

物語中でも、魔法族が子どもに読み聞かせる物語として死が出てきます。子どもへの読み聞かせとしてはテーマが重いものですよね。これは映画でもハーマイオニーが朗読する場面があり、映画の関係上省かなくてはならない箇所が多い中でも結構長く尺をとっていました。

「世界一受けたい授業」で女史のテーマが明らかに

これは私がたまたま見ていたテレビですが、「世界一受けたい授業」という番組でハリー・ポッターが特集されました。そこで私の読みは当たりました!女史がハリー・ポッターという物語を通して伝えたかったテーマが「死」だったのです。「愛」も散りばめられ、友情や親子の絆という暖かいものもある中で、それでも一番に伝えたかったものでした。

論文を書いている時は、真髄は女史本人に聞かなくてはわからなかったのですが、この番組で真相が明らかになりましたね。楽しく読む分には意識しなくても良いと思いますが、文学的に見ると深く潜れる物語です。

私がハリー・ポッターに惹かれたのはこのテーマのせいかもしれません。魔法が使えるから何でもかんでも可能になるというのではなく、できないものは絶対にできないというリアルさがあるからこそのめり込めるのです。悲しいし、どうせ本の世界だから生き返るのでしょという概念を覆したとも言えます。最後の方は戦争になるので彼も彼女も・・・と容赦なく人が死んでいきます。でもそれが人の終わりであって、それは偉大な魔法使いでも誰にでも等しく来るものだと伝わってきます。あのハリー目線では最強だったダンブルドア校長でさえ、あっけらかんと死んでしまうのですから。

まとめ

さあ!ハリー・ポッターはUSJにテーマパークもオープンし、楽しく賑やかな魔法の世界というイメージが強かったという方もいたかもしれませんが、実はダーク要素満載でした。大人になってからでも本は読み返さないと最後の方はわからないくらいで、児童文学の域を超えている作品です。皆さんも、お暇があれば改めて魔法の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

執筆者について(キキ)