ゴルフは楽しく真剣に

解説者(男)

日常を離れ自然の中で興じるゴルフは、とても楽しくて奥の深いゲームです。その上、4~5歳のキッズたちから90~100歳の老若男女が同じ時間、同じフィールドで興じることができるという、ほかのスポーツにない特色も持ち合わせている素晴らしいスポーツです。

実際に経験した話ですが、筆者は100歳のお誕生日に著名人や関係者100人を招いた大きなコンペに参加したことがあります。会場は静岡県裾野市にある、かつては『三菱ギャラン・トーナメント』を冠した男子トーナメントを開催した東名カントリークラブという名コースでした。

主役は100歳といえど現役ゴルファー。フジテレビの取材も来ていましたが、朝の練習でドライバーが120ヤードも飛んだ時はレポーターが大きな声で感嘆していました。

東京の自宅の戻る東名高速道路、”あぁ、ゴルフとはなんという素敵なゲームなんだろう!”と、あの時ほどしみじみ心に沁みわたったこともなかったことを記憶しています。
 
今回はゴルフに挑戦し趣味にしようかなと考えているあなた、あるいはすでにゴルフの魅力を知り始めてしまった方に、とてもわかりやすく読めてますますゴルフが好きになる「ビギナーズ・ゴルフアカデミー」を開講しました。

どうぞ、コーヒー片手に、肩の力を抜いてゆっくりご覧ください。

ゴルフって、なぜ世界中でたくさんの方が夢中になるほど楽しいのでしょうか?言ってみれば止まっているボールをクラブで叩いて、遠くにある穴に入れるだけのゲームでしょう。まだ経験していない方にとっては何が楽しいのかわかりませんね。

ゴルフの楽しさは1行2行の文章で言い表せるほど単純ではありません。煎じ詰めれば現代にいたるゴルフの歩んだ長い歴史のなせる業(わざ)、ゴルフというスポーツが持つ独特の性質、「人」が根源的に宿す向上心、思うようにいかないボールへの探求心、「人生」そのもののエッセンス・・・、などなどでしょうか。一度その魅力を知ると、ゴルフへの興味は尽きることがありません。

さて、《ゴルフは楽しく真剣に》、でもやる以上は上達したい、いつかシングルプレーヤーになれないかな?始める前に学ばなければならないことは?

それから用具一式とかコースでプレーするためにはどのくらいの予算が必要なのかな?そういったところをわかりやすくまとめておきます。

早くコースの飛び出したい!気持ちはよくわかりますが、まずは心落ち着けて最初からゆっくり噛みしめながらお読みください。コースに出て恥をかかないためにもですね。

おっと、一番大事なことを忘れました。ゴルフの上達には「キチンと段取り通り順を追って」ということがあります。はっきり言って、それさえ守れば例外を除いてどなたでも上達します。ゴルフ全般に言えることですが、<決して焦らない>ことが肝要です。

ではそのあたりから解説を始めましょうか。
 

上達の極意=最初の手順を飛ばさない

ゴルフはボールをうまく打つ技術がすべて、と考えてはいけません。奥深いゲームには奥深い上達の極意があるのです。そして、これはキャリアを積むほど下っ腹にジャブとして効いてきます。さらに、後になってそれを取り返すのは厄介であり、初期の学習が後々の自分の<伸びしろ>になるのです。

かつての日本、バブルの時代はそういうゴルフに対する”欧米の常識”はありませんでした。歴史もマナーもルールも全く意に介さず、ゴルフを始めた人たちでコースは溢れました。笑うかもしれませんが、アサイチのティグラウンドで、ドライバーのヘッドについているビニールカバーを外す光景など普通にあったのです。

結果的にその人たちはほどなく上達の限界を迎えます。そして知るのです。ゴルフはボールを打つことだけではないことを…。

あなたに好きな方ができたと仮定しましょう。あなたはその方のことに興味がわき、たくさん知りたくなります。それが愛情を深め育てることを知っているからです。「ゴルフ」も何ら変わりません。ゴルフをこれから始めるなら、まずは心に深い愛情を蓄積しましょう。

歴史を知る

ゴルフの起源については諸説紛々です。

紀元前の古代ローマ帝国時代には、鳥の羽を固い皮で包んだボール(?)を打って遊んでいたパガニカという遊びがありました。
12世紀ころになるとスコットランドの羊飼いたちが、足元の石を作業用の棒で打ちながらウサギの巣に入れているうちにゲーム化したという説はとても有名です。

ゴルフの起源について、最近かなり有力な説が広がりつつあります。

14世紀ころのオランダでは1,000ヤードを超える長~いホールを4つも並べ、人々がゲームに興じていた記録も絵画もあります。そのゲームはKolve(コルフまたはKolven)と呼ばれていました。

そのKolveは後に戦争や移民によりスコットランドに渡ります。

Kolveはスコットランドで大きな変貌を遂げました。スコットランドの土地はゴルフにとって千載一遇のチャンスだったのです。その海岸には大量の良質な砂がありました。ものすごい年月をかけ、この土地特有の荒波と暴風が海から陸地に積み上げたのです。

そこには風が運んだ芝草の種が芽生え、自然の牧草地ができます。そこへウサギや飼われている羊の群れが現れ、ちょうどよい長さに食んでいってくれたのです。
無数の海鳥や小動物たちのフンは、もともと海の栄養を含んだ地質をさらに肥沃にしました。スコットランドの海岸地帯は害虫がいないため、いまでもあまり薬剤などは散布しないままです。まさに大自然が生んだリンクスの誕生でした。

Kolveはスコットランドの言葉の訛りから『Golf』と称されるようになりました。

やがて1452年にはボールが10個で10シリングで売られていたことや、1457年にスコットランド政府が(あまり国民が熱中したため)ゴルフ禁止令を発令しています。もっとも、その当時の国王自身が夢中だったという記録もありますが…。

そして時を重ね1860年、ついに全英オープンが開催されます。日本では桜田門外の変で井伊直弼が暗殺された年です。

結論的にゴルフの起源はあまり明確ではなく、行きつくところ「ゴルフとは?」という定義の問題になります。

ゴルフはその起源がいつなのかを全くスルーして発展し、いまやPGAなどは一度の大会の賞金総額が10億円を超えるという途方もない大きさになったのも、こういった長い歴史の韻を踏んでの興隆が礎(きそ)にあったわけです。

ゴルフはマナー優先、そしてルールを知る

ゴルフのマナーとは、決して特殊なものなどではありません。皆さんが外を歩くときや電車やバスの中で注意することに変わりありません。

ただし、なぜゴルフというと必ずマナーのことを特筆するのかというと以下の三点があります。

  1. これまでの歴史でご覧のように、ゴルフのマナーはすべてイングランド・ベースです。そこは当然ながら習慣の違いもあり、(ゴルフに限りませんが…)日本の常識と若干異なるところもあります。
  2. 日常生活には遭遇しないシュチュエーション、つまりそこがゴルフコース(池やバンカー、グリーンなどがある)だということ。
  3. ゴルフでは<マナーとルール>は一体化しています。そしてその日常の習慣づけは、自分自身の人生を向上させるエッセンスになるということもあります。

当然、ゴルフもスポーツですから、ほかのスポーツと共通していることは多々あります。

ただし、ゴルフのマナーはルールよりもさらに重視されるというあたりがほかのスポーツと異なる点といえます。

ルールを知ることが必須

ゴルフの異なる点の代表格でいえば、プレーに「審判員」がつかないということもあります。ゴルフはプレーヤー自身が審判員であるからです。(特別な競技は例外です)

プレーする人も同伴者もすべてが同じ「ルールの共有」をしなければゲームになりませんから、ルールを知らないと『ゴルフの無免許運転者』となってしまいます。

ご夫婦や親子などで単なる遊びとしてバラバラなルールも、時には楽しいでしょうしそれはそれでいいと思います。しかし、一般的な仲間や友人同士の競い合いがあってはじめてスポーツの醍醐味もあります。

ゴルフのルールは人から教わる、わかりやすいルールブックを購入して独自で学ぶ、いろいろな経験を積み重ねながら覚えていくことで身に付きます。

筆者自身の感想ですが、ルールは知れば知るほどそゴルフの面白さを倍加する力があるように感じています。

とかく初心者のうちは””ルールはペナルティ(罰)のためにある”と勘違いしそうですが、ルールはプレーヤー救済のためにある条項のほうがはるかに多いのです。図解入りの本はたくさん出されていますし、ウエブで見ているだけでも十分学べそうです。しっかり身につけましょう。

いまや世界のルールは一様に決められ、どの国でも同じような「ゴルフ・ルールブック」が出版されています。

そしてそのルールブック、規則第一条より前に書かれているのが「マナーの条項」です。これ一つ見ても、いかにゴルフとマナーは切り離せないものかということがお分かりかと思います。

解説者(男)

結論=言い方を変えると、ルールは正しくプレーをするためで、マナーは楽しくプレーするためにあるといっても言い過ぎではありません。

ゴルフでは人並みの品格を保持しなければ他人に迷惑をかけるという点に注意を払う必要があります。またゴルフから学ぶ品格も、長い目で見れば自分自身の人生にとって必ずプラスになることが多いという点に着目すべきでしょう。

具体的な初歩のマナー

まず、これからゴルフを始めようという方にとって、服装や行動から学ぶことが第一です。今回はビギナーズ・ゴルフアカデミーなので複雑な説明なしでポイントだけ並べておきましょう。

  • 服装は見苦しかったりだらしのない恰好はNGです。街中ではセンスの良いファッションもゴルフコースではアウトになることも多いので注意しましょう。
  • ほとんどのゴルフ場には<ドレスコード>があります。襟のないシャツ、肌の露出が多い短パン系やおへそが出るようなシャツは断られます。シューズも今はほとんどソフトだけになりました。
  • 他人のプレーの妨げにならないこと。例えばアドレス(打つ体制)に入ったときは声や音は出さない、その方の視野に入っているなら動いてはならない、そのような常識的なことです。
  • プレーファースト。これはある意味最も大事なことで、プレーに必要な時間はしっかり掛けても必要のない時間を掛けることは避けましょう。例えば自分の順番が来た時にショットであれパッティングであれ、酷すぎるスロープレーは全体の進行にも支障をきたしますし競技などではペナルティがあります。
  • ショットであけた穴(ディボット)や自分の足で荒らしたバンカーなどは、きれいに修復して次へいくことなどは基本です。

ゴルフの費用など

用具一式

最初はどのクラブやボール、シューズなどどれがいいのか迷いますね。ただし、よくわからないからと言って無差別に買い込むと大失敗というケースもあります。ポイントだけ抑えましょう。

  1. 価格が高いから良い(自分に合っている)とは言えません。むしろ最初は中古クラブにして、上達したら買い替えるほうがいいでしょう。
    ※大事なこと=スイングはクラブに合わせるのがゴルフ。シャフトのバランスもライ角もロフトもあらかたそうだと記憶してください。
  2. 最初はハーフセットをお勧めします。ハーフとはクラブ7~8本でセットになったものです。中古屋さんなら3万円くらいからで大丈夫でしょう。
  3. 宣伝文句で「クラブがカバーする」などというのはあまりアテにしないほうがよさそうです。
  4. 本来なら、最初からユーティリティ(ハイブリッドまたはレスキューなど)は使わないほうがベターです。中級になったら使ってみましょう。
  5. クラブセットのポイントは、年齢、体幹、性別などに合わせ、ショップの方のアドバイスを聞いたほうがよろしいですね。
  6. ボール・・・全く無視してよいでしょう。最初は1個30円くらいの格安ボールで十分です。
  7. 意外と大事なシューズ。これは品質の良いものをお勧めします。最近は6,000円くらいからかなり上質なものが購入できます。

事前準備

ここまで書いてきましたが、歴史を学びマナーを知りルールを熟知する、これらの必須条件をクリアしつつ実際の練習も欠かさず進めましょう。こちらのポイントです。

  1. もっともベターなのは近くの練習場を探し、スクールに通う方法がベストです。ゴルフに言えること、それはうまい人に教わる、ハンデの上の方と一緒にラウンドすることが手っ取り早い方法です。
  2. 最初から書いているように、すべて「我流」では限界が近いのがゴルフです。グリップ、スタンス、姿勢やスイングプレーン、ヘッドアップという大事な基本はしっかり学習しましょう。
  3. ボールに当てるのが精いっぱいという段階でコースに出るのはやめましょう。周囲の方に迷惑をかけるだけでなく、自分でもゴルフを楽しむということはできません。上手な人に見ていただき、OKが出ればもう大丈夫。

※余談ですが、筆者は師匠(ハンデ2)が厳しくて、練習を始めてから1年間コースに連れて行ってくれませんでした。 その代わり、練習後の焼き鳥屋で聞くマナーやルールの話はものすごく勉強になり、ゴルフの歴史や四方山話と経験談に心ときめいたものです。

コースデビュー!

待ちに待ったゴルフのデビューです。きっと前夜は寝られないでしょうね。

  1. デビューだからといきなり高級クラブはいかがなものでしょう。慣れないと逆に窮屈な思いもします。
  2. 河川敷のコースで手引きカートなら満点ですね。また費用も最近はどこも格安になり、平日なら4,000円くらいから、土日でも10,000円で遊べるところがワンサとあります。
  3. 同伴者=かつて、ゴルフは一人ではなかなか遊びにくいものでした。今はネットの<一人予約>もあり、コース自体がおひとりさま受付をしているところもあります。さらに、ネットで募集している「ゴルフ・サークル」は無数にあり、自分に合った地域、レベル、雰囲気など探りながら加入しておくと非常に便利です。サークルがすべて予約のセットをしてくれますし、ほとんど会費などとるところはありません。これならメンバー探しで苦労することもなく、職場の仲間に遠慮することもないでしょう。
  4. 往復のアシですが自分の車や仲間のピックアップなら簡単です。またレンタカーやタクシー、公共交通機関などの場合はコースが出すクラブバスの時刻表や予約が必要か否かを事前に調べておきましょう。
解説者(男)

さぁ、ゴルフは楽しく真剣に、マナーを知る向上心、ルールを学ぶ楽しさ、これらを身に着ければあなたのゴルフはもう大丈夫。しっかり練習して広々としたゴルフコースで思いっきりボールをかっ飛ばしましょう!

執筆者紹介

プロフィール<Bogey Jones>
2001年よりゴルフ情報を執筆。国内、海外移住を含め多数の国のゴルフ事情や分かりやすい解説、トーナメントこぼれ話やゴルフ四方山話などの方面で活躍中。ゴルフはキャリア45年、歴史に強い関心を持ち現在「ゴルフ千年史」を綿々と構築中。<ゴルフは楽しく真剣に>がモットー。